ショートコラム「馬にまとわりつく虻」Vol.4

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『ある句碑について』

 大阪城公園といえば言わずと知れた大阪の数少ない観光スポットのひとつだが、天守閣のふもと、豊臣秀吉をまつる豊國神社のとなりの林の中に、ひっそりとたたずむ句碑をご存じか。

 日本が軍拡と戦争にひた走る昭和初期、川柳で強烈な反戦を唱えた反戦川柳作家、鶴彬を懸賞する碑文がそれだ。

 なんでそんな人の碑が豊國神社の隣にあるのかって。

 そこは、かつて「大阪衛戍(えいじゅ)監獄」(大阪陸軍刑務所)があったところで、鶴彬は1931年から1年8カ月治安維持法違反の罪で服役していた。

 顕彰碑に刻まれた鶴彬の川柳がこれ。

 「暁をいだいて闇にいる蕾」

 日本という国は今、戦争に向かう真っ暗闇の中にあるが、明るい夜明けを胸に秘めた蕾として生きよう、という強烈なメッセージが込められている。

 毎週火曜日、大阪城公園の西隣にある大阪府庁前で、朝鮮学校だけを『高校無償化』、『幼保無償化』から排除した当局の理不尽に対して当事者である保護者、学生をはじめいろんな人たちがそれぞれの立場から怒りの『声』をぶつけている。  

 その『声』は鶴彬の生きた100年前、濃い闇の中で、日本の行く末を憂いながらも暁をいだいた蕾たちの『思い』と深く共鳴していることだろう。

第5回もお楽しみに!

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