『読書を通して、祖国を想う』
いやはや、愉しい読書体験をさせてもらった。
韓昌道(ハンチャンド、朝鮮大学校准教授)著「虫を追って、祖国を想う」(幻冬舎)だ。
このところ10年も祖国を訪問できていない私にとって、今回の読書体験はまずは、私自身の中に眠っていた「祖国好き過ぎ症候群」を再発させる起爆剤になってしまった。
最近、ついついネタバレ的なところに突っ込んでしまい、おしかりを受けることが多いので、内容には立ち入りませんが、簡単な紹介と感想だけ。
まずはこの本、ただの昆虫採集の紀行文ではない!
在日朝鮮人としての著者自身が、祖国朝鮮と真正面から向き合った、自らの「アイデンティティ再構築の書」なのだ!
このことは、祖国訪問中、採集制限の厳しさに直面した著者が『・・・ここでは未だ朝鮮戦争は終わっていないのです。半世紀以上が過ぎた今も「休戦状態」にあり、未だ私の祖国はその戦いを世代を継いで行っていて・・・』、『しかし、これが朝鮮の今の実状であることを学び、その状況を現地の方と共有し正確に理解することによって、「祖国」と呼称する私自身が日本の地で何を知り、何を学び、何を感じて「祖国」と呼んでいたのかを深く省みることができました。』(本文より)というくだりに象徴的に表れている!
著者の専門である昆虫研究が、「祖国」(そこに生きる人々)を媒介にして、人生観という哲学(普遍)に至る貴重な体験が生き生きと表現されている!と、こんな風に書くと、なにか「重たい本」みたいなイメージを与えてしまいそうだが、心配ご無用!著者の語り、ほぼ漫談です。現に私自身、電車内で読みながら爆笑し、涙し、ひんしゅくを買いました。
少しでも祖国朝鮮を知る在日同胞にとっては、「祖国あるある」と「え、マジ?!そんなことあるの?」が程よく混在していて、祖国をより身近に感じながら、自身の祖国観を吟味する絶好の機会になるはずです。
日本人が読めば、巷にはびこっている超低俗な「北朝鮮」というイメージを解体、払拭するきっかけになること間違いなし!何はともあれ、まずは手に取ってみてください。
そして読み終わった後、この本には、ありがたい副次的効能があることに気づきますよ。何かって?もうお分かりですよね。そう、「私~、ムシ、無理なんです~病」がかなり緩和されています。
最後に、ご報告です。
この度、大阪トンポ通信編集委員会の再編を機に、ショートコラム「馬にまとわりつく虻」は最終回となります。
ご愛顧くださった読者のみなさんに心から感謝の言葉をお送りします!
イジェカジ、チョンマルロ、コマッスムニダ!

ご愛読コマッスムニダ!


