『アジア競技大会に参加する共和国選手団に想いを馳せて』
書き手:金一昌(総聯大阪府本部 宣伝文化部長)
前回から大阪トンポ通信ではじまった、リレーコラムのタイトルが決まりました!
その名も!!
「ことば紡いで、こころ繋いで」
イルクンや同胞が、自分の「ことば」で思いを綴ります。
自らの考えや主張、政治や情勢について。最近読んだ本の感想やオススメのお店。自分が携わる行事やイベントのお知らせなど。
「私はこう思う」
「これを伝えたい」
誰かが紡いだ「ことば」が、誰かの学びや気づき、一歩を踏み出す力になるかもしれない。
その「ことば」が、誰かの「こころ」に届き響くかもしれない。
コラムの「書き手」は、リレー形式で繋いでいきます!!
世代や立場、地域を越えて、一人ひとりの「ことば」を紡ぎ、人と「こころ」を繋いでいく。
どうかゴールのない
「つむつな・リレー」になりますよう応援してくださいね。笑
第2回は、今まさに話題沸騰中のアジア競技大会について、そして9月11日に関西国際空港で共和国選手団を迎えた時に、私自身が感じたことを書きたいと思います。
9月11日、関西国際空港。
この日、空港には100人を超えるイルクンと同胞が集まり、共和国選手団を熱烈に歓迎しました。
到着した選手たちを見て、まず感じたのは、私がこれまで祖国で出会ってきた人々と変わらない、素朴でピュアで、どこか優しさを感じさせる青年たちの姿でした。
ただ、近くて遠い日本という地に初めて足を踏み入れた選手たちの表情には、どこか緊張がにじんでいました。
その表情が、同胞たちの熱烈な歓迎と激励の声に包まれるにつれ、少しずつ変わっていきました。
緊張した面持ちが、安心した笑顔へ。
そして、笑顔が、次第に力強い表情へと。
その変化を、私はずっと見ていました。
歓迎団の中には、つい最近、修学旅行で祖国を訪問した大阪朝鮮中高級学校の生徒たちもいました。
その中の一人が、こんなことを話してくれました。
「私たちが祖国で過ごした時、祖国の人々が温かく迎えてくれて、優しく接してくれた。チョソンサランとしての誇りや勇気を与えてくれた。だから今度は、祖国の人たちを日本で歓迎して、私たちが祖国の人たちにパワーを与えてあげたいと思った。でも、今日こうして歓迎してみたら、自分自身がさらに力をもらってしまった。笑」
その言葉が、この日の光景を一番よく表していたのかもしれません。
歓迎する側と、歓迎される側。 応援する側と、応援される側。
その境界は、いつの間にかなくなっていました。
年配の同胞たちも、まるで自分の孫に声をかけるように、
「あなた、背番号何番だい?頑張るんだよ。必ず応援に行くからね!」
「日本にいる間、体壊しちゃだめだよ。冷たいものばかり飲んじゃいけないよ!」
と、温かい言葉をかけていました。
選手団がバスに乗り込んだ後も、
「만세!」 「잘하라!」 「필승조선!」
という声援は鳴り止みません。
しまいには、生徒や朝青のイルクンたちが朝鮮の定番の歌や流行りの歌を歌い始め、それに共和国の選手たちも加わって、一緒に歌う。
さっきまで少し緊張していた選手たちの表情が、みるみるうちにたくましくなっていく。
私はその光景を見ながら、改めて思いました。
私にとって「祖国」とは、一つの国だけを意味するものではない。
祖国とは、そこに暮らす人々であり、その人々と交わす言葉であり、分かち合える感情そのものなのだと。
そして、異国の地に暮らす私たちが、祖国の言葉を話し、祖国の歌を歌い、祖国の人々と心を通わせることができる。
それは決して当たり前のことではありません。
学校を守り、同胞社会を守り、民族の言葉と文化を守ってきた、先代から今日までの長い歴史があったからこそ、私たちは今ここで、祖国とつながることができる。
その歴史に対しての誇りやプライドを感じずにはいられませんでした。
9月11日の関西空港で、私はそのようなことを、集まった生徒たちや同胞、そしてイルクンたちの姿を通して、改めて刻みました。
そして9月14日、ヤンマースタジアム長居。
共和国女子サッカー代表のバングラデシュ戦が行われました。
スタジアムには、朝鮮学校の生徒たちをはじめ、大阪、兵庫、京都から約1300人の同胞が集まり、大応援団をつくりました。
赤いシャツ、赤いスティックバルーン。
スタンドは、まるで朝鮮の赤旗が広がったかのように、赤一色に染まりました。
試合が始まると、1300人の声が一つに。
「필승조선!」「힘내라 조선!」
そして、
「우리는 조선사람」「공격전」「가리라 백두산으로」…
朝鮮の歌が、スタジアムいっぱいに響き渡りました。
得点が入るたびに、スタンドは大騒ぎ。笑
歓声が上がり、スティックバルーンが揺れ、笑顔が弾ける。
そして、またすぐに声援と歌が始まる。
一瞬たりとも、声援や歌が鳴り止むことはありませんでした。
試合は、10対0。
共和国女子代表が見事な快勝を収めました。
そして、この試合では、在日同胞の李誠雅選手もスタメン出場。
ピッチを力強く駆け、見事にゴールも決めました。
大阪のスタンドから、ひときわ大きな歓声が上がったことは、言うまでもありません。
関西空港で「頑張って」と声をかけた選手たちに、今度は1300人の同胞が、スタジアムから力いっぱい声を届ける。
「필승조선!」「힘내라 조선!」
その声に応えるように、選手たちはピッチで躍動する。
そして、ゴールを決めるたびに、スタンドの私たちに力を与えてくれる。
まさに、あの日の関西空港から続いていた「心のキャッチボール」です。笑
そして試合終了後。
選手たちが、ピッチからスタンドのすぐ目の前まで歩いてきました。
応援団の目の前に立ち、同胞たちと勝利の喜びを分かち合う。
スタンドからは大きな拍手と歓声。
選手たちも笑顔で応える。
その光景を見ながら、私は思いました。
そこにあったのは、単なる「応援」ではなかった。
遠く離れた場所に暮らしていても、同じ言葉を話し、同じ歌を歌い、同じ喜びを分かち合う。
「우리는 조선사람(私たちは朝鮮人)」。
その想いが、スタジアムいっぱいの1300人の心を一つにつないでいました。
その姿は、とても力強く、そして美しい「우리는 조선사람」の姿だったと思います。
アジア競技大会は、まだ始まったばかりです。
大阪では9月17日にも、ヤンマースタジアム長居で共和国女子サッカー代表がミャンマーと対戦します。
また、愛知、静岡、東京など各地でも、14競技にわたって共和国の選手たちが熱戦を繰り広げています。
選手たちは、この日のために汗を流し、努力を積み重ねてきました。
大阪から、全国から、もう一度、いや、これまで以上の声を届けましょう。
「ここに同胞がいる」
その思いを、声援に込めて。
そして、スタジアムを朝鮮の旗と声援でいっぱいにしましょう。
9月17日、ヤンマースタジアム長居で。
「필승조선!」「힘내라 조선!」


第3回もお楽しみに!


