Hello World(ハローワールド)-プログラミング教育で同胞社会の未来が変わる!?-「第3回:プログラミング教育は脳を育てる」

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連載「Hello World(ハローワールド)-プログラミング教育が同胞社会を変える!?-」

システムエンジニアとして働く傍、IT業務支援や教育事業を手がける「Colibbon」の代表として活動する趙成哲さんが、昨今ブームとなっているプログラミング教育についてわかりやすく解説してくれます。

プログラミングが私たちの生活、そして子供たちの将来や同胞社会の未来にどのように影響を与えるのか。
そして私たちにどんな可能性をもたらしてくれるのでしょうか。

第3回:プログラミング教育は脳を育てる。

連載コラム「プログラミング教育を語る!」の第3回目です。今回から数回に分けてプログラミング教育のメリットについて説明していきたいと思います。

私は、プログラミング教育のメリットが次の3つであると考えています。

プログラミング教育のメリット
  1. 学校・生活上の勉強力が向上される。
  2. 情報リテラシーを身につけることができる。
  3. 21世紀スキルを強化できる。

今回と次回では「1.学校・生活上の勉強力が向上される。」というメリットについて説明しようと思います。

そもそも勉強力が向上するとは?

勉強力という言葉は一般的に使われるかもしれませんが、あいまいな言葉でもありますので、まず定義をはっきりしたいと思います。

ここでいう勉強力とは、「知識や技術の習得のために精を出し努力する度合い」を意味します。つまり、”勉強力の向上”とは知識・技術の獲得に対して欲をもって取り組んでいくように変化していくことを言います。

受動的な学びから能動的な学びへと変化していくこと言ってもいいでしょう。受動的な学びは、何を学ぶかを他人が決めます。小中学校であればカリキュラムで決められていますし、どの教科書を使うのかも自分で選ぶことはできません。

授業をただ受けて、授業で正しいと習ったものがどんなときも正しい答えだと思い、覚えるように学びます。

能動的な学びは、決められたカリキュラムであっても自分が理解するために教科書を見直したり参考書を開いたりして探究活動を行います。そして学習の対象についてパターンや共通点を見いだして、異なる対象との関連性をつかむ活動も行い、知識と技術を自分のものにしようとします。

受動的な学びと能動的な学びはテストではそこまで差がつかないと思います。

しかし、実社会では当たり前ですがテストの問題はでません。むしろ社会にでればわからないことや未解決の問題がたくさんございます。それらの事象にうまく立ち向かうとき、受動的な学びをしていた者と能動的な学びをしていた者とでは決定的な差が生まれると私は思っております。

好奇心は学習に必要な力

「あなたは、家から駅までの道のりにある電柱の数を覚えているだろうか。きっと何百回、何千回と歩いているはずだと思うが、そこに何本の電柱柱があったかなど、多くの人は答えられない。」(引用:BRAIN DRIVEN 著者:青砥瑞人)

上記文章は株式会社DAncing Einsteinの創設者であり脳や神経科学の第一人者のひとりである青砥瑞人さんが本でお話されていたものです。

青砥さんいわく、人は意識的に注意を払わないほどの情報を脳に記憶情報として保存させないようにできているといいます。そのため、学習をより効率的に行うためには学習者本人の注意力を上げさせることが先ず大切となってきます。

学習心理学者であるロバート・M・ガニェはインストラクショナルデザインとして9教授事象を定義していますが、そちらについても授業の始まりは学習者の注意喚起をすることが大切だということが説明されています。

つまり脳は注意することによって情報を取り入れる準備ができるものだと考えられます。しかし、これはあくまで情報を取り入れる準備になっただけで実際に取り入れるかどうかについては違う作用が働くことになります。

目や耳から入った情報は、「①大脳皮質神経細胞」が認識し、「②A10神経群」と呼ばれる部分に到達します。

ここでは好き嫌いをつかさどる「側坐核」、危機感をつかさどる「扁桃核」、言語や表情をつかさどる「尾状核」、意欲や自律神経をつかさどる「視床下部」などがあります。

脳はここで情報を感情でとらえようとするのです。

その情報が「好き」、「嫌い」、「面白そう」、「興味がない」といった感情のレッテルが貼られるのです。

ここで貼られたレッテルがポジティブなものであればそのあとの脳の機能(上の絵の③~⑥)はうまく働き、逆にネガティブなレッテルであれば脳の機能はうまく働きません。

思考することのスイッチは「②A10神経群」というものがカギを握っているのです。

そのため「好奇心」というものが重要になってきます。(「モチベーション」という作用も必要な場合がありますが、「モチベーション」は自発的行動を促すことが多いと考えられるためここでは「好奇心」のみ触れることとします。)

子どもは比較的に何に対しても興味・関心をもっているため好奇心が旺盛であると私は考えています。なのでプログラミング教育のみならず既存の基本教科についてもしっかりと好奇心をもって学んでいくことでしょう。

ただし、プログラミング教育だけは特別なアドバンテージがあると感じています。

それは普段触ることができないコンピュータやタブレットに触れたり、プログラミングロボットに命令を出したりと(いつかは日常に溶け込まれるかもしれませんが、)普段見慣れないことをする機会が多いからです。

例えるのであれば、理科室でしか味わうことができない理科実験のような刺激・好奇心を毎回味わうことができるものです。

プログラミング教育を通して子供たちは「情報活用能力」について着実に身に着けていくでしょう。

第3回のまとめ
  • 勉強力の向上とは、受動的な学びから能動的な学びへと変遷していくことであり、能動的な学びの実践は実社会で生かすことができます。
  • 好奇心は脳の機能をうまく働かせるため学習に効果的です。
  • プログラミング教育は他の科目に比べて好奇心が働きやすいアドバンテージ(端末やロボット)があるため学習効果が期待されます。


次回は”学びのサイクル”、”試行錯誤においてのデジタルデータの優位性”についてみていきましょう。

(次回へ続く)

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