システムエンジニアとして働く傍、IT業務支援や教育事業を手がける「Colibbon」の代表として活動する趙成哲さんが、昨今ブームとなっているプログラミング教育についてわかりやすく解説してくれます。
プログラミングが私たちの生活、そして子供たちの将来や同胞社会の未来にどのように影響を与えるのか。
そして私たちにどんな可能性をもたらしてくれるのでしょうか。
第5回:プログラミング教育で情報リテラシーを身につける。
連載コラム「プログラミング教育を語る!」の第5回目です。第3回目からプログラミング教育のメリットについて説明しています。
- 学校・生活上の勉強力が向上される。
- 情報リテラシーを身につけることができる。
- 21世紀スキルを強化できる。
今回は、「情報リテラシーを身につけることができる。」というメリットについて説明します。
情報リテラシーとは何か?
「あ」、「1」、「@」など意味を持たない文字・記号を組み合わせて意味をなすものとなったとき、それを情報と呼びます。(意味を持たないものやメッセージでないものもメディアにのせられる形となった場合は情報と呼ぶ場合があります。)
情報はモノと違って形がないもので複製が容易となっています。モノは物質的に存在するため相手に渡したとき所有者の手元には残りませんが、情報は物質ではないため複製されて伝わり、元の所有者も情報をなくすことなく持つことができるのです。
また情報は簡単に変更することができ誤った情報を発信することもできます。21世紀の情報技術社会ではインターネットをはじめ、様々なメディアを通して私たちに情報を与えてくれています。
情報リテラシーとは、メディアを通して与えられた情報を扱う能力のことです。単に情報活用能力とも言います。
情報リテラシーを厳密にカテゴライズできないと思いますがここではわかりやすく4つにカテゴライズしたいと思います。
①情報の検索~求めている情報を正しく引き出す能力です。求めている情報はどのメディアに存在するのかを特定し探すことができる力が必要になります。
②情報の評価~情報が正しいかどうか、最新かどうかを判断する能力です。インターネットの情報は捏造があったり古かったりしますのでそれを切り分ける力が必要になります。
③情報の操作~ 情報を作ったり改変する能力です。情報には通信・表現・記録などあらゆる目的がありますが、目的に沿って正しく作る力が必要になります。
④情報の管理~情報を保管し守る能力です。情報を正常な状態に保つこと、流出を防ぐことなど情報を管理する力が必要になります
これらの能力は必ずしもコンピュータやインターネットに直結するものではありません。
ただ現代は手紙よりもEメールやLINEなどのアプリを使用したり、プレゼン資料も紙ではなくPowerPointなどのプレゼンアプリを使用したりします。そのため情報リテラシーは、コンピュータやインターネットを扱う能力と言っても過言ではありません
プログラミング教育と情報リテラシー
情報リテラシーはプログラミングはデータを扱うという観点では親和性があります。
文部科学省の資料「教育の情報化に関する手引(令和元年12月)」にも以下のような記述があります。
「プログラミングによって,コンピュータに自分が求める動作をさせることが できるとともに,コンピュータの仕組みの一端をうかがい知ることができるので,コンピュータが「魔法の箱」ではなくなり,より主体的に活用したり,社会における身 近な様々なものの仕組みを理解したりすることにつながる。
また,プログラミング教育は,障害のある子供たちも含め,その可能性を広げるこ とにもつながる。
プログラミングの能力を開花させ,創造力を発揮して,起業する若者や特許を取得する子供も現れており,将来の社会で活躍できるきっかけとなることや,新たな価値の創造が期待できる。」プログラミングはデータを定義し、そのデータに対して操作を行う命令をまとめる作業です。
子供たちはプログラミングする過程で情報の性質を理解し、活用しながら情報リテラシーを学ぶことになるのです。
また、子供たちのプログラミング教育で扱う教材はエンジニアが使っているプログラミング言語ではなく、アニメーションやゲームが比較的に作りやすいビジュアルプログラミング言語のため、プログラミング教育を通してコンピュータを使った表現力・創造力を早く養うことができます。
プログラミングは情報リテラシーを学ぶにおいても素晴らしい学習ツールになるのです。(ただ、プログラミング教育だけでは情報リテラシーすべてカバーすることはできません。例えばセキュリティ・プライバシー問題などはプログラミング教育よりも座学で学んだ方がいいと思います。)
普通教育で行われているプログラミング教育というものは、プログラミングのスキル向上させることを目的としていません。
未来を生きる子供たちがより健全により豊かに生きるための生活能力(情報リテラシー)を養うための大切な教育として位置付けられているのです
- 情報を正しく扱うために情報リテラシーは大切なスキルである。
- プログラミング教育を通して情報リテラシーを育てることが可能である。
- プログラミング教育は未来の生活能力を養う大切な教育である。
次回は、プログラミング教育の三つ目のメリット、”21世紀スキルを強化できる”についてお話ししましょう。
(次回へ続く)