システムエンジニアとして働く傍、IT業務支援や教育事業を手がける「Colibbon」の代表として活動する趙成哲さんが、昨今ブームとなっているプログラミング教育についてわかりやすく解説してくれます。
プログラミングが私たちの生活、そして子供たちの将来や同胞社会の未来にどのように影響を与えるのか。
そして私たちにどんな可能性をもたらしてくれるのでしょうか。
第6回:プログラミング教育で21世紀スキルを強化する。
連載コラム「プログラミング教育を語る!」の第5回目です。
第3回目からプログラミング教育のメリットについて説明しています。
1.学校・生活上の勉強力が向上される。
2.情報リテラシーを身につけることができる。
3.21世紀型スキルを強化できる。
今回は、「21世紀型スキルを強化できる。」というメリットについて説明します。
21世紀型スキルとは何か?
現在は2021年で21世紀に入ってちょうど20年が経つ年である。
著者は中学生の時に21世紀を迎えたのだが、当時はスマホがなく、インターネットはあったがそんなに普及されていなかったという記憶があります。
しかし、2010年代からIT関連の技術は急速に発展・普及しはじめ、今やビジネスや生活にインターネットは欠かせないものとなりました。
また今は第3次AIブームと言われていて今後はAI技術とインターネットが新しい社会の基盤になるとも言われています。(過去にもAIブームが2度あって期待されていたものの、コンピュータの性能が今と比べて格段と低くて現実問題を解くまでのの課題が多く生じたため自然と幻滅していったそうである。)
そういった社会の変化によって、今ある仕事がある程度淘汰され、新しい仕事ができあがることが予想されています。これからの21世紀を担う人材はどういったスキルを持つべきかということをあらゆる国際団体が提唱したのが「21世紀型スキル」です。(21世紀型スキルは、”ATC21s”という団体が提唱したというが、あらゆる団体でこういった討論はされていたそうである。)
「21世紀型スキル」にはどういったスキルがあるのでしょうか?
国際団体”ATC21s”によれば、「21世紀型スキル」は以下の通りであります。
”ATC21s”による、「21世紀型スキル」
◆思考の方法
・創造力とイノベーション
・批判的思考、問題解決、意思決定
・学ぶことの学習、メタ認知
◆仕事のツール
・ 情報リテラシー
・ICTリテラシー
◆働く方法
・コミュニケーション
・コラボレーション
◆世界の中で生きる方法
・地域と国際社会での市民性
・人生とキャリア
・個人と社会における責任
これってスキルなの?って思えるものもありますが、「21世紀型スキル」はただ単に知識や技術だけを求めているのではなく、態度や倫理観についても整理されているのです。(一般的に”知識や技術”のようなスキルをハードスキルと言い、”態度や倫理観”といったスキルをソフトスキルと言います。)
いろんな根拠をもとにこれらの「21世紀型スキル」が提唱されたと思われます。特徴としては知識の保有よりも知識の活用・応用により重点を置いて整理されている感じがします。
また、「学ぶことの学習」という言葉から大人になっても学んでいくことの必要性が感じられます。コンピュータに関する技術を持つことはもちろんのこと「コミュニケーション」や「コラボレーション」から人との連携も今よりさらに深めていく必要性があるといことが感じられます。
これらは誰もが必要ないとは思わないスキルだと思います。
しかしいまいち納得もできない方もいらっしゃるのではないでしょうか?
もう少し私たちの身近な仕事に置き換えて21世紀型スキルの必要性を考えてみましょう。
さて、今私たちが行っている仕事はコンピュータが代わって処理してくれているのでしょうか?
おそらく一部はコンピュータの処理で実行されている業務があるかもしれませんが、さすがにすべての業務まではとはいえないでしょう。
まだまだコンピュータにとって不向きな業務はたくさんありますので簡単にすべての業務をコンピュータができることはありません。
しかし、コンピュータのできる業務が増えていくと働き方も大きく変わっていくでしょう。
まず、コンピュータを扱う能力が今以上に必要になってきます。
現にクラウドソフトサービスをたくさんの会社や事業が活用していると聞いております。
これらはデータの操作・管理をコンピュータを使って行うことになりますので便利にはなりますが、情報リテラシーやICTリテラシーを今まで以上に備える必要があることにつながります。
人が実質行う業務としては、処理を行うコンピュータの操作と人しかできない作業であり、後者については「21世紀型スキル」の思考の方法や働く方法などがより重視されるのではないでしょうか。
今の内容はすべての仕事に適応できるわけではないので、一度読者自身の仕事を振り返ってみてはいかがでしょうか。
プログラミング教育が強化できる21世紀型スキル
プログラミング教育は、情報リテラシーを育成するためにとてもいいということに第5回でも触れていますが、その他にも創造力や問題解決力、コミュニケーションの力も育てられることが期待されます。
プログラミング教育ではプログラミングを学びながらたくさんの課題にチャレンジします。
課題をチャレンジする中で自身の思考方法を確立しますし、解決するためのプロセスについても経験で習得していけます。
また、コンピュータは命令通りにしか実行されないため誰がプログラミングしようと同じ結果が返ってきます。
このように再現性があるプログラミングだからこそ、友達と話し合いながら問題を解決に認識齟齬なく取り組んでいけます。伝える者はただしく伝える、聞く者は理解して聞き取ることからコミュニケーションは意味を持つものになると思います。
プログラミングの課題をチームで解くことはその力を効果的に養ってくれるでしょう。
プログラミング教育では作品作りも行っています。自分が作りたい作品をいざ作るとなると難しいものですが、習った内容を活用してオリジナル作品を作っていきます。
これ自体はオリジナル性がありますが、創造力とまでは言い切れません。
真の創造力はカスタマイズにあると私は考えております。
オリジナル作品を作った後に次にどうすれば悪かった部分が改善されるか、どうすればもっと面白い作品になるかを考えて手直ししていきます。
この試行錯誤の活動こそが創造力につながると私は考えております。
プログラミング教育は他の教育に比べて教育自体が確立されてなく、実績もまだまだ少ない部分がありますが、21世紀型スキルを習得するにおいて大切な教育活動と考えられます。
- 今後の社会の担う人材として「21世紀型スキル」が注目されている。
- 「21世紀型スキル」は知識や技術といったハードスキルの面だけでなく、態度や倫理観といったソフトスキルの面でも定義されている。
- プログラミング教育は「21世紀型スキル」が強化できると期待されている。
次回は、私が実際に行っているColibbonのプログラミング教室についてご紹介します。
(次回へ続く)